2010年12月9日木曜日

イタリアからインドへ。

実は、私、夫ともどもインド、プネにおります。
日本、イタリアで微小ながらも、培ったノウハウを元に、
学生とともに、デザイン・プロジェクトを進めています。
デザイン(夫がテクニックを教授)、
そしてコンセプト・アウトプット、
企画の仕方などを教えつつ、この秋からはや三ヶ月。

日本、スイス、イタリア、インドと、実に落ち着かない根無し草。
2010年9月頭から飛び込んだフィールド・ワーク的なこの経験。
住み始めて、少しずつ発見や考えさせられること、
感じることもありました。

新しいものを生み出したいインド。
常に企んでいる躍動のインド。
私たちを大きく受け入れてくれるほほえみのインド。
おおきな知と伝統にがんじがらめな頭でっかちインド。
変わらなくてもいいとこがそのままな、ある意味無駄のないインド。
ほほえみつつ、財布を狙うインド。
何があろうと、どっしり構える不惑なインド。
個人でなんとかする、なんとかできてしまうとこもある、サバイバルなインド。

イタリアを一時的に離れたとはいえ、このブログで、
また新しいインプットとアウトプットができていければと思いますので、
よろしくお願い致します。

再開を報告出来なかった、人個人として向きあってくれた叔母。
難病と戦い、この秋に逝った叔母は、ブログを読んでは涙したり、
批評してくれたりしてくれた一番の愛読者でした。
今、距離に縛られないどこかで、
きっと、私の至らなさ、私挑戦を、サポートしてくれていることと思い、
また書くことをやめないことを決心しました。

どうぞ、またよろしくお願い致します。

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2010年6月24日木曜日

仕事でのお知らせ(2)BEESTUDIO Subaru Impreza Berlinetta - VirtualCar.itでの記事

大変お待たせしております!!前回より、以前、私達のスタジオで仮説スタディとして3Dプロトタイプに致しました、スバル社へのオマージュ、スバル・インプレッサ・ベルリネッタの独自開発プロジェクトがVirtualCar.itというクルマを扱うウェブ・マガジンで、取り上げられましたので、この場を借りて、皆さんに連載してご報告させて頂いています。

以下、記事の引用のご紹介と、併記にて私の日本語での拙い訳(ボールド部)を掲載いたしますので、是非ご高覧ください。なお、このプロジェクト、または他業務に関するお問い合わせは、tommycoccinella(a)gmail.comまでどうぞ。〈お手数ですが、〈a〉をアットマークに変えてください。)

今回の記事は、前回の記事(以下リンク)の続きになります。

Articoli del 7 GIUGNO 2010
2010年6月7日

BEESTUDIO(ビースタジオ) スバル インプレッサ ベルリネッタ

di Sergio Chierici alle 18:24
記者 セルジョ・キエリチ(18:24)

・・・«La sofisticata e precisa tecnica aeronautica insieme alla trasmissione integrale, ha consentito a Subaru di essere una Azienda che produce sofisticate e potenti auto da corsa, pur restando nel mondo della realtà quotidiana perché le Subaru da corsa sono delle automobili da rally che, quindi, mantengono un rapporto reale con il mercato diventando campioni del mondo con le stesse automobili che il cliente usa tutti i giorni, cosa che è impossibile per le Aziende che costruiscono F1 o Sport Prototipi, vetture che non hanno niente da condividere con le automobili che si usano tutti giorni, anche se le F1 sono molto importanti come laboratorio di ricerca per l’evoluzione della tecnologia automobilistica.

・・・「航空機から由来する、精巧の技術と独自の四輪駆動があり、スバル社は日常のドライブシーンという現実的な文脈上でも、パワーある洗練されたレーシングカーを生産させることを可能。なぜなら、スバル社にとってのレースはラリーだからだ。ユーザーのいる市場の現実という地に足をつけた状態で、彼らが日常で愉しんで乗る同じモデルでラリーの世界チャンピオンというタイトルを獲るようなことができる。F1やスポーツプロトタイプを手がけるメーカーにはなかなか見られない。現実的に生活者に届く商品とレーシングカーは、全く関係がなかったりすることはざらだ。F1が自動車技術の研究と発展の場としては大事なものだとしても。

Per esempio: la Ferrari é l’unica Azienda automobilistica che non ha mai abbandonato le competizioni. Nell’esperienza vissuta di molti ferraristi le Ferrari sono, o meglio, “erano” auto da corsa con la targa perché la sensazione delle Ferrari come auto da corsa con la targa è dovuto anche alla loro forte componente artigianale: l’auto da corsa è infatti per definizione un prodotto artigianale».

例えば、フェラーリ社は、レースの舞台から一度も退いたことがない。フェラーリのモデルの数々はナンバープレートのついたレーシングカーなのだ、いや、「だった」のだ。フェラーリ愛好家(フェラリスタ)ならわかることだろう。フェラーリはほとんど職人による仕事であるという強い要素もあって、ナンバープレートをつけたレーシングカーという感覚がある。実際、レーシングカーは、ハンドメードの一品だと、言えるだろう。」
L’idea, dunque, di realizzare una Impreza Berlinetta dalla tecnologia avanzata ma di tipica “impronta” Subaru fu sottoposta all’ing. Mauro Forghieri, che realizzò uno studio di pre-fattibilità della tecnica per una possibile vettura sportiva Subaru “top di gamma”, paragonabile alla Ferrari Enzo o alla Ford GT40, ma utilizzando elementi della Impreza di serie. ・・・

スバルの「刻印」はのこし、先進技術でインプレッサ・ベルリネッタを実現するというアイデアはエンジニアのマウロ・フォルギエーリ氏に委ねられ、インプレッサをベースとして共有するという条件で、フェラーリ・エンツォやフォードGT40に匹敵する、スバル社のスポーツ「フラッグシップモデル」としてあるべき、技術面でのフィージビリティスタディを担当した。・・・


subaru_impreza_beestudio_f01 subaru_impreza_beestudio_f02 subaru_impreza_beestudio_f03 subaru_impreza_beestudio_f04 subaru_impreza_beestudio_f05 subaru_impreza_beestudio_f06


BEESTUDIO per Virtual Car

まだ、続きます・・・。

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2010年6月22日火曜日

ふと感じること。2010年5(訂正、6月ではないか!)月22日

「ココロの鍵」

自分で考えたこととか、
一生懸命調べたこととか、
感じたこととか、
そんな湿っぽくって、熱くって、
時にとげとげしくて、ほんわかしてる、
そんなものが入っている私のココロ。

それをちょっとおいておいて、
「なんで、この人は心を開いてくれないんだろう。」
「この人は、きっとすっごい意地悪だ。」
なんて、目の前の人のことを考えていると、
私のココロの其処から、ノックの音。

「あのー、あけてくださーい」
「マスターキーはもちろんお持ちですよねー」
「今開けないと、遅れますよー」

今ってどういうことだろう。
よくわからないけれど、
手の中にあったじっとりしたマスターキーとやらを、
鍵穴にさしこんでみる。
サビついているのか、
相当苦労して重い鍵を回す。

おのおの、ため息をつきつつ、準備運動をして、
いつか見た綺麗な空色の調べを鳴らす特大ホルンだとか、
アメリカの真っ黒な海のように大迫力の大太鼓だとか、
石油のお値段的な右肩あがりのバイオリン弾きとか、
甘い香りのする皮バッグな調べのクラリネットとか、
アーカイブから読み取ったキーワードの、確信あるラッパとかが、
扉から出て、連隊を組み。
調子のよい音楽を奏ではじめる。
あの人に向かっていくマーチングバンド。

「あ、皆さん、あの、あの人はすっごい性根の悪い人ですから、
そんなに鳴らさないほうがいいと思いますけれども…えー、あのー…。」

私のおそるおそるの忠告はまったく無視され、
どんどん進む、賑々しいマーチングバンド。
それを率いる綺麗な着物をきたお姉さんが、
バトンのように、掲げているのは

私のマスターキー。

「それ、どうするんですか?ちょっと!私のココロ仕様でしたけれど…?」

あの人のココロの鍵穴に、すとんと入って、
バンドのみんなの調べに合わせてくるくる回る。

ぱちん。
ふわり。
あいた。

「あ、それ、もっとききたいなー。」と、
きらきらとココロの奥底の、
光や闇で彩られた目で、
あの人がいう。

「いや、それがさ!…」
と連隊をけしかける私も賑々しくなってきたぞ。

マスターキーは世界共通。
あの人のココロの鍵も、
私のココロの鍵も、
結局、私の手の中、閉めるのも、開けるのも、なんてことはない。



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2010年6月8日火曜日

仕事でのお知らせ(1) BEESTUDIO Subaru Impreza Berlinetta-VirtualCar.itでの記事

専門的なポストになりますが、以前、私達のスタジオで仮説スタディとして3Dプロトタイプに致しました、スバル社へのオマージュ、スバル・インプレッサ・ベルリネッタの独自開発プロジェクトがVirtualCar.itというクルマを扱うウェブ・マガジンで、取り上げられましたので、この場を借りて、皆さんに連載してご報告させて頂きます。

以下、記事の引用のご紹介と、併記にて私の日本語での拙い訳(ボールド部)を掲載いたしますので、是非ご高覧ください。なお、このプロジェクト、または他業務に関するお問い合わせは、tommycoccinella(a)gmail.comまでどうぞ。〈お手数ですが、〈a〉をアットマークに変えてください。)


Articoli del 7 GIUGNO 2010
2010年6月7日

BEESTUDIO(ビースタジオ) スバル インプレッサ ベルリネッタ




di Sergio Chierici alle 18:24
記者 セルジョ・キエリチ(18:24)
subaru_impreza_beestudio_520
Vi segnaliamo questo studio di design che ha come tema un’ipotetica Subaru Impreza in versione Berlinetta, realizzato autonomamente dallo studio di design BEESTUDIO, fondato nel 1990 da Anna Visconti e Emanuele Nicosia. Di seguito, una breve presentazione dell’interessante progetto.
今回は、仮説プロトタイプがテーマである。アンナ・ヴィスコンティとエマヌエレ・ニコジアにより1990年に創立されたBEESTUDIO。彼らが独自に、スバル社の誇るインプレッサへのオマージュとしてスポーツクーペ(ベルリネッタ)を仮説スタディした。以下、端的に、夢のあるこのプロジェクトをご紹介していきたい。
BEESTUDIO ha scelto di realizzare, qualche anno fa, un progetto di rinnovamento del “brand” Subaru, pensando ad una sua possibile collocazione innovativa in chiave internazionale, e partendo dall’immagine che il marchio giapponese ha in occidente. Come riferimento, è stato scelto un modello “iconico” del marchio, la Subaru Impreza, molto gradita ai designers di BEESTUDIO per un caratteristico duplice aspetto: la raffinatezza meccanica unita ad uno stile «un po’ grezzo», ma di grande personalità, e capace di suscitare emozioni.

BEESTUDIOは、数年前、スバルのブランド・イメージの革新を狙うということで、ブランディング・プロジェクトを自主的にスタートさせた。このスバルという日本のブランドが西世界でどういう受け止められ方をされているのかを分析することから、グローバル市場を見つめた新しいポジションを構築するものである。彼らが選んだのは、スバル社にとっては「アイコン」的なモデルといえる、名高いスバル・インプレッサ。高性能で洗練を感じるメカと「すこし荒削り」だが独特の雰囲気が感情を揺るがすスタイリングという、言ってみれば相反するような二つの要素が、BEESTUDIOのデザインチームにひらめきを与えたのである。
Partendo dunque dal principio di realizzare qualcosa di innovativo -e non su una specifica richiesta Subaru, che pure ha collaborato con BEESTUDIO in altri progetti- si è dunque pensato ad una nuova vettura “di nicchia”, che potrebbe imporsi grazie all’immagine del marchio, ma anche alle caratteristiche complessive della Casa – «agile, di medie dimensioni, cosmopolita, creativa, imprenditoriale, efficiente, dinamica»: con un’espressione, Subaru ha un’immagine “in progress”, che può mutare non tanto per i contenuti, ma per «i codici con cui si esprime», ossia per la tipologia e le caratteristiche delle sue vetture. Ecco, dunque, un layout completamente inedito per l’Impreza: una berlinetta affine a quelle di scuola italiana «degli anni d’oro».

「スバルでありながら、今のスバル社にはない新しさを」を与えたかったのだという。BEESTUDIOとは旧知のスバル社からは、このプロジェクトに対して、オーダーや細に入る要件などが一切なかったにも関わらず、「軽快さ/取り回しの良い中型サイズ/コスモポリタン/クリエイティブ/挑戦/合理性/躍動」というような複合的なスバル社自体の特徴とそのブランド・イメージ、そして〈完成への進行形〉というスバルの概念的な世界観はそのままに、ベースの商品の〈表現手段や所作〉、ランゲージやキャラクターを変えることで、この「ニッチ」なクルマの、新しい形を開発した。とにかく、何しろ、この車両レイアウト、このインプレッサのため、新たにゼロから設計されたものなのだというのだ。イタリア・デザイン「黄金時代」を彷彿とさせる、洗練のクーペ(ベルリネッタ)像の提案であるといえるだろう。・・・


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BEESTUDIO per Virtual Car




次回は、技術面からの紹介記事です!


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2010年6月7日月曜日

ふと思うこと。6月7日 (カール・ラガーフェルドのゼロ地点)

カール・ラガーフェルドは、黒(または濃い色)い色の服しか、着ないそうだ。

カール・ラガーフェルドが黒い服を着る理由 [ update:2010-06-07 18:50:00 ]

デザイナー、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)
黒いジャケットとサングラスという独特のスタイルで知られ、シャネル、フェンディ、そしてシグネチャーブランドを手がける世界的デザイナー、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)。彼は、カラフルな色の洋服を着ると頭が混乱してしまい、デザインするのが難しくなってしまうので、いつも黒い服とサングラスをかけているのだという。


「ネイビーも好きだよ。でも黒の方がもっと定番でいい」と、ラガーフェルドは語った。「黒い服を着ると、何も考えなくて済むのさ。ネイビーだと、邪魔にならないけれど、それでも色を楽しんでいるという気分になるだろう?」
「ファッション業界にいて、いろんな色を使ってデザインしなければならないと、グリーンやピンク、それにとにかく派手な色は着ていられないんだ。結局、自分がサンプルみたいな気分になっちゃうからね」
黒い服を着ることで、背景に溶け込むことができるというラガーフェルド。そのおかげで仕事に集中できるというのだ。彼はクリエイティブな人たちはみんな自分のやり方をたどった方がいいとアドバイスしていて、これが目の前の仕事に完全に集中する1番いい方法だと主張している。
黒を着れば、自分のことを意識せずにいられるんだ」と、ラガーフェルドは英版Vogue誌の7月号で語っている。「素材を扱っていたり、フィッティングをしている時は、自分のことは考えないものだよ」
なるほど、彼の場合、自分を投影してではなく、頭にある像を具体化するのねと。実際、自分にどんどん実験を施していってスタイルを作り上げるというアプローチもある。ラグジャリー系のプロジェクトだと、やたらと高級ブランドで自分を着飾ったりすることもあったりした。しかし、これも実は限界がある。自分を膨らましたりしても、結局自分の範囲を越えられない。商品の世界を自分に引き寄せるというアプローチは決して間違いではないが、上のラガーフェルドの仕事の姿勢がうかがえる言葉に、プランナーとして鍛えてくださった方から頂いた言葉を思い出した。

「たとえ君が、ロールスロイスに乗っていなくっても、
見た事さえなくとも、
ロールスロイスを企画(またはデザイン)しなくてはいけないときもあるし、
それは不可能ではない。」

これは、産業デザインに関わっているものの悲しみでもあり、
楽しさでもある。

私が所有している、または所属している世界でなくとも、人一倍、
その世界がどんな要素できているのか。
その気分が何なのか。
それを所有する人々はなぜそれを求めたのか。
を知ったり、仮説をもっていなければいけない。

その仮説を壊した、
じゃあどうやったら、この世界を他の要素で作り上げることができるか。
ということが私の新たなプロジェクトの出発点になるのである。

そんなゼロ地点が、カール・ラガーフェルドにとっては黒い服とサングラスなんだろうなと、私なりに思ってみた。

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2010年6月5日土曜日

クルマなイタリア。6月4日(2007年にかいたもの)

以下は、昔(2007年)、立ち上げて放置していた他のブログで書いた記事なのですが、意外にも結構な反響をもらっていたので、こちらにも移します。内容は基本、コピペですので一度読んだ方(いないと思うけれど)はあしからず。




あくまで、車のデザイン業界に関してであること、しかも私の個人的な違和感であることを、 はじめにいっておきたい。 

ピニンファリーナ社で、 車のデザイナーは、 スティリスタと呼ばれていたそんな時代。 
エンジニアの図面をもとに、 スタイル、つまりはお洋服をつくり、 

フィグリスタが、色をつけ、光をいれ、 
今では、レンダリングと呼ばれる、 フィグリーニに仕上げ、 
ある程度、3次元になったときの姿を想定して、 みんなで確認する。 
フェラーリならエンツォ・フェラーリ氏と共に選択する。 

何度かこれを繰り返して採用したり、手を変えたり、
他デザイナーやエンジニアのアイデアを組み合わせたりして採用案。


これを、上から、横から、前からの 等身大の図面(セクション図)におとして、 モデルにする。 
(はしょってますけど。)

アナログなその時代のスケッチたち、 スティリスタのサインがされたものは、 砂消しゴムで丁寧に消してから、 プレスに渡されていたそうですので、 社の代表が代表者としてコメントすることがあっても、 そのスケッチやアイデアが誰のものかを、 口にすることはタブーだったわけである。 
確かに、その時代にいたデザインチーフの名前だけでも、 調べてみれば、わかるもの。 


しかし、その時代でさえ、かならずしも デザインチーフやディレクターが、 一人でエクステリアのアイデアから、 レンダリングにおとして、 カラリングして、 マテリアルを手配して、 モデルをつくって、 インテリアをスケッチして、 モデルに、そして生産車にまで実現しているわけではない。 
プロジェクトによっては、 もちろん、チーフのポンチ絵が、 熱い思いで貫かれ、 プロダクトになったものもあるかもしれない。 


だが、そんな時代は、せめて、 
ガンディー二どまりなのじゃないだろうか。 

車だって、商品です。芸術的な情緒的な価値もありますが、貴族だけが車をもつ時代ではない今では、 悲しいかな、投資して、それがリターンされるよう、 売ってなんぼの「商品」なんです 


いろんなヒトがかかわっているのは必然なわけです。 

この10年ぐらいでしょうか。 AUTO&DESIGNや、CAR STYLING(2010年196号で休刊(涙))などには、 スケッチの端っこに、 デザイナーのサインが、 まるで、ブランドバッチのように、 誇らしげに入るようになっている。 


確かに自分をPRすることは大切だが、統合の度重なるメーカーにとって、 ブランディングが叫ばれてだいぶたった今、この状況はどうなんだろう。 

一人でデザインしたと名乗る、 名声高いスター選手、 
これを、 あちらこちらは引き抜きたがるもので、 
その年俸だって、 うなぎのぼりである。
(それは、デザイナーの妻としては、嬉しいことではあるけれど、
ワークチームの一員としては、複雑な心境だ。) 

ここで、雇う側も慎重になるべきで、 スターに頼りきると、 より高い年俸に引かれて他の会社にいってしまった後や、 その社との関係が悪化したりしたときには、 まだまだ そのブランドの文化が育っていなかったり、 軸がずれてしまっていたり、 ひどいときには、資金を骨抜きにされて、 プライドさえ踏み潰されていたりするわけだ。実際、そんな痛い思いをしたところはトリノにあちらこちらとある。

2007年の初めくらいからだろうか、AUTO&DESIGNに掲載された スケッチには、一部、 サインが消されるようになっていた。 

確かに、 自分を商品としてキャリアのために、成果を上手にプロモートすることは大事だけれど、 それを自分ひとりの創造物として、 所有権をひとりじめできるものではない。

あくまで、 

チームワークのたまもので、 意匠は社のもの。マネージャーとしての裁量の巧みさはあれど、 なにはともあれ、メーカーさんがいて、そのメーカーさんのお客さん、買ってくれる人がこそ、仕事ができる。 

なにも特権があるわけじゃない。 肝に銘じて、姿勢を改めるときが、 来ているのではないか。


※ちょっと加筆したところもあるが、これを書いたのは、2007年。
実際、いろいろなデザインスタジオやカロッツェリアが倒産したり、統合されたりという、
カーデザイナー飽和状態に陥っている、現在2010年である。


もし「おお、いいな」とココロに響いたら、
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2010年6月4日金曜日

私、とみー。(自己紹介)

私、とみーが何をしているのかをお話します。


クリエイティブとメーカーさんの間、
またバイヤーやディストゥリビューターにたって、
どんなものをつくってもらいたいか、どんなものを売りたいか、買いたいか、


そもそもどんなデザインに落とし込みたいか、またどう生産したいか 
を整理して深めて展開して具体化する 

デザイン企画、商談通訳、ビジネス翻訳をしてます。 



お客さんは、 おもに、デザイナー、 
クルマだとかバイクだとか電車、照明、時計、などのプロダクトのメーカー、
シャツやバッグなどファッションメーカー、
テキスタイル、皮革、樹脂メーカーなどマテリアルメーカー等などなど、
最近では観光業界の皆さんにも
幅広くお世話になっています。。 



ワタシの学生時代は、デザインだとかは、勉強してませんでしたが、
インターンから正社員に採用いただいた、日本の自動車メーカーの
先行開発デザインスタジオで、企画営業として鍛えられ、
数々のトレンド研究分析、コンセプトカー企画、次世代プロダクト企画などに関わりました。


さかのぼると、もともと学生時代は、 
英文学専修でシェイクスピアの戯曲を研究していたり、 
英語や日本語で役者として芝居をしていたわけで、 
イメージ世界を言葉や動き、ビジュアルにしてこの世に生み出すことを、
研究していいました。


市場にあふれる言葉と気分
をトレンドやマインドとして、イメージにし、
商品というひとつの世界として構築することは今にも通じますね。 


ま、父がおもに、広告やパッケージの 
グラフィックデザインをしていたのですが、 
そのメンタリティが役立ってるんでしょう。 
門前の小僧経をおぼえるって感じでしょうか。 

言葉とイメージで地図をつくり、この世にうみだします。
経験豊かな旦那とネットワークと共に、
あちらこちらのお客さんの願いにたどり着けるように、
間の道をつなぐ、プランナー。

ひよっこですが、イタリアで日本と世界に羽ばたけるよう、

みなさん、いろいろご教示、ご鞭撻の程、宜しくお願いいたします。

以下リンク先が私達のネットワークと、オフィスです。
http://www.dsn-network.net/
http://www.beestudio.it/






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2010年6月1日火曜日

ふと思うこと。(セックス・アンド・ザ・シティ2をみて)6月1日

今日は固いこと抜きで、ガールズな話題ですんで、
読み飛ばしていただいても結構です。
実は、私、SATC2こと、セックス・アンド・ザ・シティ2を見に行きした(笑)。
ドラマのセックス・アンド・ザ・シティ、
私、もうDVD全部持ってるくらい大好きなんです。

あ、でもなぜか、今回乗り気でなかったんです。
映画版1でもう終わりだということで納得していたのですよね。
でも、見ました。夫つれて見ました(汗)。
せっかくの彼女たちの姿、観にいかなければ女ではないと(?)!


で、


・・・目の保養・・・にはなりました。
ときどき、会話がいいかなと思える瞬間がありました。
キレイな靴。
キレイなファッション。
かっこいい男性陣。
エキゾチックなパーティ。
きんぴかのリゾート。

でも、なぜか、悲しい気分になってしまいました。

いや、加齢(華麗)があるのは、わかっていたので、
別に悲しい理由にはならなかったのですと、
前提としてはっきり言っておきます。

これはなぜなのかと考えて、
ツイッターでも、つぶやきましたが、
あえてここでまとめちゃいます。






さて、
いい意味でも、悪い意味でも、SATC2は「祭り」になったのである


ほら、祭りってみんながその意味合いや、
記号の背景を理解しているわけではないけれど、
豪奢な神輿があって、盛り上がるからみんなでかついで練り歩く。


「ゴージャス」「パーティー」
「セックス」「ファッション」というお決まりのキーワードと、
映画ということで今回特別の「エキゾチック」をとってつけた
4人のNY女子の神輿が賑々しいお囃子と共に目の前を
ゆっくり通り過ぎていくのを、
観にいったわけである。



まずこのお祭り、キャラがあまりに簡略記号化していた。

かつて、自分でヴィンテージや靴を一点一点掘り出しては、
工夫し、涙を流して喜んでいたキャリーが、
あれやこれやとブランド物を、
ブティックのようにでかいクローゼットで、
無表情(!)で、無造作に(!)着替えたりするようになってしまったのだ。
いくら、印税で稼いでいるとはいえ、
買い与えられることになれたのか、キャリー?!

これでは、彼女が、主義に反すると思っている、
ただの「夫婦」姿と変わらないではないか!
確かに金持ちと結婚して好きなことするってのは、野望だったのだろうけれど、
「カオナシ(参考、千と千尋の神隠し)キャリー、堕ちたり」と思って幻滅した。

サマンサはいつものとおり。言うまでもなく。
ミランダは、確かにきっかけがあったとはいえ、
キャラ変ゆえに誰かわからなくなっていた。

あ、でも、シャーロットはキャラとして成立していたし、
奮闘して、彼女なりのスタイルになっていたような気がします。




NYだって、今の時期、大変難しい時期である。
実際、女社長サマンサの「さあ、憂さ晴らしよ~!」な発言や
ビッグの「株価下落して疲れてる」的な発言でも、
不況の香りをちょこっと加えている感じはする。

だけど、

私としては、この難しい時期に、
仕事も恋(現時点では愛でしょうか)もファッションも、
自分で痛い思いや恥ずかしい思いだとか、苦労をしながら、
新しいライフステージで、彼女たちなりの新しいライフスタイルを築いて、
がんばっている姿、


つまり、アラフォー、アラ50な
先輩たちの加齢を越えた、
成熟の過程を観たかった。
(バブルを引きずったり、加齢や生活臭や夫婦のリアリティを隠したり、
否定したり、仕方なく妥協したりするような過程ではない。)
そんなリアルな姿に勇気付けられたかった。


よっぽど、普通にサラ・ジェシカ・パーカーをドラマしたほうが、
年齢や夫婦生活だとか、ファッションだとか、子供だとかとの
日々のそれなりの哲学があって面白そう。


ドラマバージョンでは、
結構リアルな女のエゴと社会の通年との齟齬や折り合いなんかを
赤裸々にしたところが共感ポイントで、
そのドロドロしたものだとか、そこを乗り越える小さな幸せが、
ファッションに昇華されているところが、
私達に夢を運んでくれるドラマなんだと思って好きだったのに。

これでは、ただ単にゴシップで有名になる、
熟女パーティーガールと同じではないか。
正体不明、年齢不詳だからと、嫉妬されたり怪しまれても、しょうがないぞ。



これは、主観なので、きっと私が持っている結婚生活観が
多分に影響しているのだろうと思うと、
またこれはこれで、やっぱり悲しいけれど。
でも、ここからは、悲しみがあっても、
新しいトレンドを観れるとおもったらいけなかった。

ロイターでは、こんな記事がありました。

「映画「SATC2」、低評価でも高興収の予想」

でも、プレミアにいらした日本のみなさんは、
大興奮のもりあがりで・・・。
解釈や楽しみかたは人それぞれですな。